慢性腎臓病とは
慢性腎臓病は、何らかの腎臓の障害が3ヶ月以上持続する状態と定義されます。初期段階で症状が現れることはほとんどなく、蛋白尿(尿検査)や腎機能異常(血液検査でのeGFR測定)によって診断されます。
日本の成人の8人に1人が慢性腎臓病に該当するとされており、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高くなります。慢性腎臓病は進行すると透析や腎移植が必要となる末期腎不全に至ることがあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
診断
以下のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する場合、慢性腎臓病と診断されます。
- 腎障害の存在
o 蛋白尿
o 蛋白尿以外の異常(病理、画像診断、検査など) - 糸球体濾過量(eGFR)が60mL/min/1.73㎡未満
病気の重症度(ステージ)判断基準
慢性腎臓病は、原因と尿蛋白の量(糖尿病の場合はアルブミン尿の量)および腎機能に基づいて1〜5のステージに分類されます。緑から赤まで色分けがされており、緑から赤に移行するほど、腎機能が悪い状態であり、心血管イベントのリスクが高いとされています。
慢性腎臓病の原因
慢性腎臓病の主な原因は以下の通りです。
- 生活習慣病:糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満など
- 特定の腎臓病:糸球体腎炎、IgA腎症など
これらの原因が腎臓に負担をかけ続けることで、徐々に腎機能が低下します。
問診、血液検査、尿検査、腎臓の超音波検査を組み合わせて慢性腎臓病の原因を診断します。
慢性腎臓病になりやすい人
慢性腎臓病になりやすい人としては、以下のような方々が挙げられます。
- ご高齢の方
- 高血圧や糖尿病、肥満などのメタボリックシンドロームがある方
- 過去に心臓病や腎臓病になったことがある方
- 家族に腎臓病の人がいる方
- 蛋白尿の指摘がある方
- 喫煙をしている方
これらの方々は特に注意が必要で、定期的な検査と早期の医療介入が推奨されます。
症状
初期の慢性腎臓病は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると以下の症状が現れることがあります。
- 疲れやすさ
- 食欲不振
- むくみ(浮腫)
- 高血圧
- 貧血
- 皮膚のかゆみ
- 尿量の減少
- 呼吸困難
末期腎不全になると、食欲低下や意識のぼんやりとした状態が現れ、透析治療が必要になります。
治療
生活習慣の改善と適切な治療の継続が不可欠です。個々の状態に合わせた治療計画を立てることが重要です。
- 生活習慣の改善:適度な運動、禁煙、節酒、十分な水分摂取、体重管理
- 食事療法:減塩、蛋白制限、カリウム制限、適切なカロリー摂取
- 薬物治療:高血圧、原疾患の治療
当院での治療方針
慢性腎臓病は進行すると予後が悪化しますが、適切な治療と生活習慣の改善により進行を遅らせることができます。当院では、個々の状態に合わせた治療計画を立て、腎機能の維持に努めています。