Diabetic Kidney Disease

糖尿病関連腎臓病

糖尿病関連腎臓病とは

糖尿病関連腎臓病は、神経障害、網膜症と並んで糖尿病の三大合併症の一つです。高血糖の状態が続くことにより腎臓の細かい血管が損傷し、腎機能が徐々に低下します。進行すると慢性腎臓病(CKD)や腎不全に至り、最終的には透析や腎移植が必要になる場合もあります。早期発見と適切な治療が重要です。

原因

糖尿病関連腎臓病は、血糖値が高い状態が長期間続くことで腎臓の糸球体(血液を濾過する構造)がダメージを受け、腎機能が低下します。血糖管理が不十分な場合や糖尿病の経過が長いと、発症リスクが高くなります。

主な症状

糖尿病関連腎臓病は初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。

  • むくみ:腎機能が低下し体内に水分が蓄積することによって、足や顔のむくみとして現れます。
  • 息切れ・倦怠感:腎臓の機能が低下することで老廃物が排出されにくくなり、疲労感が強くなります。
  • 食欲不振:腎臓の機能が低下すると、胃腸の働きにも影響し、食欲が減少します。
  • 蛋白尿:腎臓の糸球体が傷つき、尿中に蛋白質が漏れ出すようになります。

診断と必要な検査

糖尿病関連腎臓病の診断には、主に尿検査血液検査が行われます。

  • 尿検査:尿中の蛋白やアルブミンの量を測定し、腎臓の状態を確認します。
  • 血液検査:血清クレアチニンや推算糸球体ろ過量(eGFR)などで腎臓の働きを評価します。

糖尿病関連腎臓病の進行段階

糖尿病関連腎臓病の進行は、腎機能や尿中のアルブミン量に基づき、以下の5つの段階に分類されます。

  1. 第1期(腎症前期):異常はほとんど見られませんが、定期的な検査が推奨されます。
  2. 第2期(早期腎症期):微量のアルブミン尿を認めますが、適切な治療で改善が期待できます。
  3. 第3期(顕性腎症期):むくみや息切れなどの症状が現れます。この段階での早期治療が重要です。
  4. 第4期(腎不全期):腎機能の低下が進み、さまざまな症状が出るため、透析準備が必要となることがあります。
  5. 第5期(透析療法期):腎臓の機能が著しく低下し、透析治療が必要です。
病期尿中アルブミン(mg/gCr) または 尿中蛋白(g/gCr)eGFR (mL/分/1.73㎡)
第1期(腎症前期)正常アルブミン尿(30未満)30以上
第2期 (早期腎症期)微量アルブミン尿(30〜299)30以上
第3期(顕性腎症期)顕性アルブミン尿(300以上) または 持続性蛋白尿(0.5以上)30以上
第4期(腎不全期)問わない30未満
第5期(透析療法期)透析療法中 

治療方法

糖尿病関連腎臓病の治療は、進行を抑えることが目的となります。以下の治療方法が組み合わされます。

  • 血糖管理:血糖値を適切な範囲に維持することが大切です。食事療法や運動療法、場合によってはインスリン療法も行います。
  • 血圧管理:腎機能を守るために、血圧を適正に維持することが大切です。レニン・アンジオテンシン系(RA)阻害薬がよく用いられます。
  • 食事療法:塩分やタンパク質の摂取量を調整し、腎臓に負担をかけない食事を心掛けます。
  • 生活習慣の改善:適切な体重管理、禁煙、アルコール制限も大切な治療の一環です。

透析療法

腎臓の機能が著しく低下した場合、体内の老廃物や余分な水分を人工的に除去する透析治療が必要になります。糖尿病関連腎臓病は、日本で透析導入となる原因疾患で第一位です。

早期発見と予防の重要性

糖尿病関連腎症は初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行することが多い病気です。また、進行すると回復が難しいため、早期発見に努めることが重要です。糖尿病の診断を受けている方は、定期的な尿検査や血液検査を受け、症状がなくても腎臓の状態をチェックすることをお勧めします。

糖尿病関連腎臓病についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。